先月のことですが、大阪認知症研究会主催の認知症講演会に行ってきました。

「認知症専門医が介護家族となって思う『支援』とは」というタイトルで
大阪市旭区にある 松本診療所ものわすれクリニック院長の松本一生先生がお話されました。

松本診療所は認知症の診断は行っておらず、精神療法的な診察が中心。
診断後の家族相談や「ケア」のあり方を一緒に考える医療機関だそうです。

私は、これまでも認知症についての講演を聞きに行ったことがありますが、
今回の公演が今までと違ったのは、認知症を診ている先生自身が介護経験者だということ。

過去には奥様のお母さまを27年、現在は奥様の介護をされているそうです。
「ここに来る前に、百貨店で妻の晩ごはんのお惣菜を買ってきました」
と笑いながらおっしゃっていました。

奥様は不安感が強いそうで、ディサービスなども拒否。
先生は北海道や沖縄への講演も日帰りだそうですが、
「妻には今日はちょっと北へ(南へ)行ってきた。と伝えているので、
たぶん大阪の北(南)の方へでも行ったと思っているんじゃないですか」と。

とてもやさしい雰囲気の話し方で笑いも多かったのですが、
日々の介護はとても大変で「これまで過労で何度も倒れた」そうです。
患者家族には「無理はしないように」と言っていても、
現実は難しく、頑張りすぎてしまう。

介護者の気持ちに
・私は介護で辛い思いをしたことがない
・私の人生は〇〇の介護に捧げる
・誰の手も借りずに介護しなければならない
という思いがあるのは危険なサイン だそうです。

「わたしはそんなこと思っていないわ」という方でも
・なぜか人に頼られることが多い
・人が嫌がることは自分がしている
・自分は陽気である
・他人との対立を避ける
こういう傾向がある方は、注意が必要。
気がつかないうちにしんどくなっている可能性があるそうです。

講演は認知症についての知識を学ぶのではなく、
患者や家族の気持ちを知る(考える)という感じで、
先生の話を聞いているのに、介護者の方々が自分の話を聞いて
共感してもらっているような雰囲気がありました。

まだまだいろんなお話がありましたが、書ききれないので
先生のブログをお知らせしておきます。
https://www.monowasure-clinic.com/blog

2年前から朝日新聞のデジタル版で「認知症と生きるには」という
コラムも執筆されているそうです。
http://www.asahi.com/apital/column/ninchisyou/

担当 I