今回のブログは新聞記事からです。

2017年の国際アルツハイマー病会議で

「認知症の約35%は予防可能な9つの原因により起こると考えられる。その中で難聴が最大(9%)の危険因子である」

という発表があったそうです。

9つの原因には糖尿病、高血圧、社会的孤立、うつなどがあり、中でも難聴はもっとも大きいリスク因子とされています。

なぜ「難聴=聞こえの低下」が認知症に関係するのかという直接的な関係は未解明のようですが、アメリカなど各国の大規模な調査研究を通じて難聴が認知機能の低下や脳の萎縮を招くことが証明されているそうです。

つまり、難聴が放置されがちなことが、認知症患者の増加の一因になっている、と警鐘を鳴らす記事でした。

たしかに、目が悪くなれば眼鏡を作ったり、白内障の手術をしたり、また歯が悪くなれば、入れ歯をしたりしますよね。
そういったことと比べると耳の悪さは「最近おじいちゃん、耳が遠くなったよね」と話題には上っても、病院に行ってみてもらおう、とまで思われる方は少ないような気がします。
おそらくちょっと大きな声で話したり、テレビのボリュームを上げたりすることで、カバーできてしまうことが多く、さほど生活に不便を生じることがないからなのかなぁ、と思いますが。

でも、難聴を放置することが認知症のリスクをたかめる、という事実を知ると、皆さんの意識も変わるのではないでしょうか。

考えてみれば、耳が聞こえにくい、ということは単にコミュニケーションの時に不便が生じるだけでなく、「音として脳に届く情報量が減った状態」がずっと続いている、ということ。

音の情報、と一口にいっても様々です。

目の前の人が自分に話している声、遠くから聞こえてくる見知らぬ人同士の会話、テレビや映画の音、美しい音楽、耳障りな雑音。これらは多くの場合、私たちに何らかの感情という形で反応を引き起こします。

音が聞こえない、ということは、その反応も当然起こらない、ということに。
となると、音が聞こえないことで脳の活動が相当量減少する、ということはなんとなく想像できますよね。
それだけ脳の活動が減少すれば、そりゃ認知症になるリスクが高まるのも当然だなぁ、と思えてきませんか?

というわけで、難聴は放置してはいけません!

じゃあどうすればいいのか。

現代医学は加齢による難聴を治すことはできません。
となると、大切なのは早期での補聴器の使用、だそうです。

確かにちょっと耳が遠くはなったけど、補聴器するほどでも、と思われる方がきっとほとんどだとおもいますが。
補聴器は難聴が進行してから使用しても、十分な聞こえの改善が期待できないそうです。

また補聴器を本当に効果的に使用するためには、開始期に3~6か月ほど、訓練する必要があります。
加齢性難聴は音を感じる細胞が少なくなっている状態なので、脳は音の情報が少ない状態に慣れてしまっています。
そこにいきなり補聴器を付けてもすぐに快適に聞こえてはきません。
根気よくトレーニングすることで脳が補聴器の音に訓練されて、言葉が聞きとれるようになるのです。

こうしたことを理解していないと、せっかく補聴器を購入しても途中であきらめてしまうことにもなりかねません。

記事によると補聴器の購入は

①耳鼻咽喉科を受診し、「診療情報提供書」を発行してもらう。
②認定補聴器技能者のいる販売店で購入し調整する。

という段取りで行うよう勧められていました。

医療費控除の対象にもなるそうです。

ご自身、または周りの方で最近ちょっと耳がとおくなったな、と思われる方がいらっしゃればこの機会に、一度現状の聞こえの状態を確認しておくのも、いいかもしれません。

認知症になるリスクは、自分自身でへらせることが、今どんどんわかってきています!

担当ーN