今年は平成から令和に変わり、お正月が2度あったような感じで、いつもよりさらに時間がたつのが早い気がするのは私だけでしょうか。気が付けばもう6月も半ばを過ぎてしまいました。

今回は、最近の施術中に気が付いた、ちょっとおもしろいというか興味深い出来事について書かせていただきます。

私は現在、患者様のご自宅のほかに、グループホームや有料老人ホームなどの施設にも訪問させていただいています。

施設は手すりのある廊下があり、ちょっとした運動や、歩行練習するにはとても恵まれた環境でありがたいのです。

ほとんどの患者さんが、お部屋でマッサージをしたあと、リハビリの一環として廊下にでて手すりをもって運動したり、歩行練習もしています。

患者様の中には、日常では安全のため移動に車いすを使用されている方が多く、歩くのは私たちの施術の時だけ、という方が多くいらっしゃいます。
そのため、施設のリビングルームから施術のために患者様のお部屋に移動する際は、私たちも車いすを押していく場合も多いのですが。

ある日、ふと気が付いたのです。

車いすで廊下を移動しているときには皆さん、特に何かに注意を奪われることもなく、前を見ておられるのですが。
リハビリのために廊下を歩きだすと、なぜか、廊下の掲示物などに目を奪われることが多いのです。

特に、ほかの入居者さんのお部屋のドアが開いていたりすると、必ずといっていいほど、立ち止まってのぞき込まれます。

お一人だけではありません。同じような特徴が同じような施術をしている患者様みなさんに見られるのです。

こちらとしてはできればたくさん歩いていただきたいので、「いきますよー」とお声掛けして先を促すのですが、歩き始めてもなんだか気になる様子で後ろ髪をひかれる感じなのです。

はじめのころは「歩くことに対して集中力がないのかなぁ」なんて思っていたのですが、それって裏をかえすと、「注意力が増している」ともいえるな、と気が付きました。

同じ場所を移動していて、車いすに座って押してもらっているときは、周りの景色が目に入ってはいても気に留めることはないのに、立って自分の足で歩きはじめると、周りの景色が「なんだろう」と気になり始める。

これってすごく大切なことだと思いました。

寝たきり、座りっぱなし生活になりがちな患者様。これはすなわちとても刺激が少ない状態であると言えます。
立って歩くことは、単純に足の筋力低下を防ぎ、歩行能力を維持する、というだけでなく、「のぞいてみたくなる」という自発的な行動を起こすきっかけにもなるんだ、ということなのです。

まぁ、ほかの入居者様のお部屋をのぞく、という行為自体はあまり推奨できるものではありませんが(笑)

これからも、どんどんのぞいて見たくなるようなものをみつけてもらえたらなぁと思った、そんな小さな発見でした。

担当ーN