冷夏の予報もなんのその、今年も結局連日の猛暑ですね。
そんな中、先日、お薬に関する勉強会に参加してきました。
私たちは鍼灸マッサージ師なので、お薬のことについて患者様にアドバイスをしたりすることはできないのですが、相談を受けることは時々あり、そんなときどんな風にお答えすればいいのか、何か参考になることがあるかもしれない、と思い参加した次第です。
勉強会の講師は薬剤師さんで、薬剤師として働く中で、今の日本のお薬の処方の在り方について疑問を持たれて、勤務先の調剤薬局をやめて、お薬の危険性について啓発活動を行っている方でした。
ここで突然ですが、皆さん、
「スティーブン・ジョンソン症候群」
という病名をきいたことがありますか?
私は医療従事者のはしくれでありながら、恥ずかしながら知りませんでした。
これは何らかの薬を服用後に発症することがほとんどな「重症薬疹」と位置付けられている病気の名前です。突然の高熱とともに全身の皮膚と粘膜に発疹と水ぶくれを生じるというのが主な症状です。
薬疹、というとお薬に対するアレルギーで、「ああ、たまに薬飲んでぶつぶつ出ることあるよね」くらいの軽い感じ認識していました。ですが、これは「重症」薬疹であり、特に粘膜の症状で後遺症が残りやすく、ドライアイ、ひどいときは失明、最悪の場合命にかかわる病気です。
そんな恐ろしい病気、いったいどんな薬を飲んだら発症する危険があると思いますか?
「そんな強い副作用があるんだから、よほど強いお薬を飲んだんだろう」そう思われる方も多いかもしれませんが、実はどこの家庭でも常備しているような解熱鎮痛剤で、起こることがある副作用なのだそうです。
もちろん、発症確率は1%以下で、薬としてちゃんと法的に販売してよいとされているお薬であることは間違いありませんが。
みなさん、解熱鎮痛剤でこんなことがおこることがある、ということをまず知らない方がほとんどなのではないでしょうか?
よく薬の副作用について
「交通事故に遭いたくないから車に乗らない、なんて人はいないでしょう?この薬をのんで副作用になることは交通事故に遭う確率よりもはるかにひくいんですよ」
と言われることもありますが。
これって、ちょっと論点がずれているんですよ、とその薬剤師の先生はおっしゃっていました。
なぜなら、「車に乗れば交通事故に遭う可能性がある」ということは、おそらくすべての人が知っている事実ですが。
「解熱鎮痛剤を飲んで、失明したり、命に係わる副作用がおこる可能性がある」ことを知っている人、は果たしてどれくらいいるでしょうか?と。
私はそう言われて、ハッとしました。そして確かにその通りだなと思いました。
同じようにめったに起こらない事ではありますが、交通事故が起こる可能性があることを承知したうえで車に乗ることと、副作用が起こることを知らないで薬を飲むことを、同じように比較するのは間違っている、と思いました。
知らないことで、発見が遅れ、治療の開始が遅れれば、予後が悪くなることもあります。
そういったことを考えると、やはり今の私たちのお薬に対する認識というのは、少し甘すぎるのかもしれない、とそう思いました。
中には、副作用があると思いながら飲むことで、精神的な問題から副作用を引き寄せてしまうようなケースもあるので、一概にもっと副作用について告知するべきだ、と言い切ることはできませんが、重大な副作用が起こってしまい、もし対処が遅れれば、本当に取り返しのつかないことになる、ということも事実です。
そのあたり薬を飲む、私たち一人一人がどうしてもその薬が必要なのか、自分でよく考えて、そしてその薬をのむメリットデメリットをちゃんと理解しようとする姿勢でいることが、自分や家族を薬のリスクからまもり、適切にお薬の力を借りることができるのではないでしょうか?
担当ーN