ありがたいことに、最近新しい患者様のところにうかがわせていただくようになりました。

ご夫婦お二人暮らし。患者様はご主人で、奥様が介護なさっている、というご家庭です。

少し麻痺があるため、身体がふらつき、以前ベッドから落ちたこともある、とのこと。その恐怖心から、ベッド柵をいつもぎゅーっと握りしめて座っておられるようで、首から肩にかけての筋肉はガッチガッチに固まってしまっています。

そのため初めはまず、その辺りのマッサージから施術させていただこうと思い、「横向きになって寝ることはできますか?」とお尋ねしました。

奥様は「横なんかむいたことないけど、できるかしら?」と少し不安そうなお顔。

ところが当の患者様は意外にも軽く、くるり、と向きをかえて上手に横向きになってくださいました。

それを見た奥様は「あら、できたわね」と驚きの表情。

実はこういうこと、初めてうかがうおうちでは結構よくあることなのです。

介護をされる御家族は、

「できないだろう」

「時間がかかって大変だろう」

と思い、いつの間にかそれが当たり前になり、場合によっては先まわってやって差し上げたりしがちなようです。

一方、患者様の方は「やってくれるから」といつの間にか自分でやらなくなってしまう。

そこへ私達のような見知らぬ人間がやってきて「○○はできますか?」、などとお聞きすると患者様はそれだけで「ちょっと頑張らないと」というスイッチが無意識にONになり、普段すっかりやらなくなっていたことも、頑張ってやってくださったりするのです。

このような患者様の眠っている力が復活する、というのがリハビリを受けていただくことで初めに起こる、大きな効果だと思います。

実はこの時点では、私達はお声をかけた以外、まだ何もしてはいないのですが(笑)

花粉をたっぷり運んでくる、憎い風ではありますが、今日は患者様のお宅の駐車場の水仙のいい匂いもはこんでくれていました。

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