気が付けば12月。今年も残すところあと数週間ですね。
数か月前に通い始めたリハビリ講習会も、あっという間に終了の日が来まして、先日終了証をいただき、一区切りとなりました。
全9回「寝る」からはじめり「座る」「立ち上がる」「立つ」「ステップ」「歩く」と順をおって、一つ一つの動作を楽に行うためのリハビリについて学んできました。
学んだことを実践していくうえで、うれしいことがいくつもありました。
20代半ばで脳卒中を発症され、重度の後遺障害をお持ちの現在40代前半の患者さん。これまでお一人で座るには何かにつかまっていないといけなかったのですが、このリハビリ方法を取り入れて以降、なんと何も持たずにお一人で座れるようになりつつあるのです。
それ以外にも片麻痺があって、麻痺側の手足をうまく使えず、立ち上がるのが難しかった方が、今までよりも楽に立ち上がることができるようになったり、神経性の難病で必要以上に筋肉が緊張してしまい、ぎこちない動きになっていた方が、すこしですが柔らかく体をうごかせたり、と、目に見えた変化が起こっています。
私自身、本当にうれしい驚きでした。
とはいえ、これから先のさらなる回復を目指すには、まだまだ本当に未熟者です。毎日、施術させていただくことが何よりの勉強です。患者さんおひとりおひとりと、しっかり向き合って、もっともっと良い変化を患者さんと一緒にたのしみながら、リハビリしていきたいと思います。
で、サブタイトル「マッサージ練習会」ですが。
たまにですが、時間があるときにスタッフ同士でマッサージの練習をすることがあります。
イマイチしっかりした圧がかからない、と悩んでいるスタッフの練習台になっていて、このリハビリで学んだことがやはり患者さんだけでなく、人間の体全体に通じている、ということを実感することがありました。
練習していたのは「掌圧」という、手のひら全体を使って、患者さんの体に圧力をかける手技でした。そのとき、まさにそのスタッフの手のひらは、患者さんの「麻痺した足」のようだったのです。
というと誤解を招きそうですね。麻痺した手でおしているように弱かった、ということではありませんので、ご安心ください。もちろん一定のレベルでちゃんと患者さんのマッサージができる程度の圧力はかかってはいました。
ただ、そのスタッフの手のひらは、圧力をかけ始めると自分の体の重みをどこにどうのせていけばいいのかがわからず、思い切り体重をかけることができていない、という感じがしました。(ちなみにマッサージで押す力、というのは実は「手で押して」いるわけではなく、「手に体重をかけて」います。そのため、手にしっかりと体重をかけられないと、「最大限の圧力」をかけることができないのです。)
それがなぜ「麻痺した足」のようだったか、といいますと。麻痺した側の足、というのは、自分の足がどうやって地面についているのか、を正しく感じられないため、どこにどう体重をかけていけば、しっかり立つことができるのか、わからなくなってしまっている状態、ともいえます。「どこに体重をかけていけばいいのかがわからない」から「体重をかけられない」という点で、全くおなじだなぁ、という風に感じられた、というわけです。
ちょっと説明がややこしくてわかりにくい話になってしまいましたが。
結局そのスタッフは「体重が手にどーんと乗る」というイメージを持って練習を続けるうちに、徐々にうまく手に体重をかけられるようになってきました。このリハビリ(この場合はマッサージの練習ですが)では「感じること」も大事なのですが「感じ方をイメージしながら動く」というのも実はとても大切なのです。
でも、うまくいきかけてきたなぁ、と思って気を抜くと、また元のようにもどってしまったりもします。これはもう練習あるのみです。
やっぱり「うまくできないこと」を「うまくできるようになる」には「練習」が大切なんだ、ということも同じだなぁ、と思ったのでした。
そう!
「リハビリ」というと、何か「リハビリの先生にやってもらう」と思われている患者さんやご家族も多いと思いますが、実は病気によってうまく動かせなくなってしまった体を、ふたたびうまく動かせるように「練習する」ものだったりするのです。
私たちはその「練習」がより、質の高い、効率の良いものになるようなサポートができるよう、これからもしっかり勉強しなければ、と思いました。
担当ーN