担当Nです。
前回のブログで紹介した、私の最近の愛読書の内容、「連載化するかも」予告しましたが、本当に本の内容を連載化するのもいかがなものかと思いつつ(;^_^A
でも、心と身体の不思議な関連についてはリハビリやマッサージの効果にも深い関連があるので、やはり紹介していきたいと思います。
今回も前回に引き続き、「思い込み」が体に与える不思議な影響についてです。
この実験の結果は「考え方次第でやせられる!」と、よくテレビでもとりあげられているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
実験対象はアメリカ各地の7つのホテルの客室係です。
ホテルの客室係と言えば、大変な肉体労働なのはなんとなく想像がつきますよね。
数値にすると1時間当たり300キロカロリーを消費するそうです。
エクササイズに換算すると水中エアロビクスや、時速5.6キロのウォーキングに匹敵する量です。
(ちなみにデスクワークがメインのオフィスワーカーの1時間当たりの消費カロリーは100キロカロリーだそうです)
こんな大変な仕事をしているのにも関わらず、実験の対象となった客室係の人のうち2/3の人が「定期的な運動をしていない」、1/3の人は「全く運動をしていない」と考えていました。
そこでその人たちに「客室係の仕事は立派な運動になる」ということを理解してもらうことで、どんな変化が起こるのか、ということを検証したのです。
実際に行ったことは二つ
1つ目
・ベッドメイクでマットレスを持ち上げる
・床に落ちているタオルを拾う
・荷物が満載のカートを押して歩く
・バスルームを清掃する
など一つ一つの行動別のカロリーを表示したポスターを掲示。
2つ目
ポスターの内容や、そのほか、客室係の業務は運動に換算すると、公衆衛生局の推奨する運動量の基準に十分達しているか、むしろ上回っているので、健康への効果が期待できること、などを説明する15分間の講演を聞いてもらう。
この2つのことを調査対象となった7つのホテルのうち4つのホテルの客室係に行いました。
残りの3つのホテルの客室係には、実験の比較対照のため「健康のために運動がいかに大切か」という説明だけを行い、客室係の業務が立派な運動になることは伝えられませんでした。(なんだか気の毒ですよね…(;^_^A)
そしてこの説明を行う前と、その4週間後に客室係の体の状態を調べた結果。
「客室係の業務は立派な運動になる」と伝えられた人たちは、体重、体脂肪率が減少し、血圧も下がっていたのです。
それを伝えられなかった人たちには何の変化も起こりませんでした。(ほんとうに気の毒ですよね(;^_^A)
この実際に体に変化が現れた人たちの生活は、実際には何も変わっていません。
唯一変わったことは「自分は運動をしている」と思えるようになったことだけです。
実験の前、客室係は自分たちは運動しているとは考えておらず、逆に客室係の仕事は身体の負担になる、と考えていたのでした。
考え方ひとつで、体にこんなにも変化が起こるなんて、全く驚きですよね。
この実験の結果、立てられた仮説は以下のようなものでした。
「二つの効果が想定される場合(この場合は客室係の仕事が運動になるor負担になる)その人がどう思っているかによってどちらの効果が現れるかきまる」
これを見て、私は思いました。
リハビリやマッサージにも二つの効果が想定されます。
一つは運動やマッサージによって、血液循環がよくなったり、筋肉の緊張がとれたりして動きやすくなる効果。
もう一つは運動の後に筋肉痛が起こったり、いわゆる揉み返しの疲労感を起こしてしまうあまり望まれない結果になる可能性。
この場合、どちらか片方だけを説明する、というわけにはいきませんが、もしあまり望まれないような結果になったときも、「それが一時的なものであって、続けていくと体に良い変化をもたらすものである」という説明を付け加えることによって、患者さんの体に結果的によい効果を与えられるはずです。
これからはより一層、患者さんには丁寧な説明をしなければ、と思ったのでした。
最後に、誤解のないようにお伝えしておきます。
この実験結果をみて、「座ってテレビを見ていてもやせる!」と思いこめば痩せられるのね!とは思わないでくださいね。
あくまでも客室係の人たちは実際に「運動をしていた」から考え方を変えることで、体に変化が現れたのであって、「座ってテレビをみている」行為にはダイエット効果はありませんので、残念ながら考え方を変えても体に変化はおそらく現れないと思われます。
担当ーN